「不動産投資」と検索すれば「リスク」「やめとけ」などの関連ワードが表示されます。
本当に不動産投資は「リスキー」で「やめておくべき」なのでしょうか?
この記事では、私たちの本業である「別荘投資」のリスクを検証してみました。分かり易くするため、比較対象としてアパート投資を選び解説しています。
この記事を書く私たちは、貸別荘(高級ヴィラ)事業を全国300棟以上で展開、多くを不動産投資家より投資いただき施設を開発運営しており、業界の実情についてよく知りうる立場です。
アパート投資にはどのようなリスクがあるのか
アパート投資で投資家が注意すべきリスクとして、次の14項目をあげてみました。
|
それでは、一つずつ見て参りましょう。
1.空室リスク
アパート投資で最も怖いものは空室リスクでしょう。
空室がでると、それを埋めるために家賃を下げて募集、賃料下落リスクも同時に引き起こします。当たり前の事ですがアパート投資において「空室はリスク」です。これが「別荘投資」との大きな違いです。別荘投資において「空室はリスク」ではありません。後ほど説明します。
2.賃料下落リスク
アパート投資には賃料下落リスクも存在します。
空室を埋めるため賃料を下げて募集をすれば、入居中の借主からも「賃料を下げて欲しい」と要望が来ます。一度、賃料が下がり出すと、ひたすら下がり続ける「負のスパイラル」に突入します。
アパートの賃料は「新築当初が最も高く」、その後は「ひたすら下がり続ける」のが一般的です。この点も「別荘投資」とは違う点です。
3.供給過剰リスク
アパートは投資規模が比較的小さく、供給過剰になりやすい特徴があります。
地域の中でアパートが供給過剰になれば、入居者獲得合戦が始まってしまうため、空室も増え、賃料も下落してしまいます。
4.修繕リスク
退去があると次の借主のためにクロスの張り替え等の修繕費が発生します。
退去は収入減と修繕費や客付のための広告費等の支出増を引き起こしダブルパンチです。
飲食店の高回転率は経営的に良い話ですが、アパート経営で借主が頻繁に入れ替わるダメージは大きいです。
5.資金繰り悪化リスク
アパート投資は銀行融資により行うのが一般的ですが、お金を借りれば当然に資金繰り悪化のリスクが出て来ます。
空室が埋まらない、想定外の費用が発生した等の原因により、借入金が計画通りに返済できなくなることです。
ひとたび資金繰りが厳しくなれば、大幅に賃料を下げ空室を埋めざるを得ない、修繕が追い付かずアパートが老朽化する、管理がおざなりになる等の負のスパイラルに陥ります。
6.建物老朽化リスク
建物は築年数が経過しますので、どんなアパートでも老朽化リスクを避けることは出来ません。建物が老朽化すればかかる修繕費も増えていきますし、メンテナンスをおざなりにすれば、想定外な大規模修繕工事が必要となります。
7.家賃滞納リスク
アパート経営に家賃滞納リスクもあります。
借主は法律により保護されており、家賃滞納が発生しても、貸主はすぐに退去させることができません。
ただし家賃滞納については、「敷金を預かること」や「家賃保証会社に加入してもらう」などの対策が一般化しています。
8.入居者トラブルリスク
入居者トラブルリスクには例えば「住人が騒いで隣室や近隣とトラブルになる」「ゴミをため込み汚部屋にする」「夜逃げする」等々があります。トラブルで悪い評判が立てば、その後の客付けにも影響します。
9.立ち退きリスク
立ち退きリスクとは、将来の建て替え新事業を行う時、入居者を立退かせようとしても立ち退きができず、計画が前に進まなくなるリスクです。普通借家契約は、借主の権利が強く守られていて、貸主から契約を簡単に解除することができません。
10.自然災害リスク
台風、地震、大雪、土砂災害、浸水などアパート投資には自然災害リスクがあります。
また自然災害とは言えませんが、火災や建物崩壊等の事故のリスクも否めません。
11.環境変化のリスク
大学や工場が移転や廃業することで、借主が一斉に退去するような周辺環境が劇的に変わることによりアパート投資も影響を受けます。大学への依存度が高い地方の学園都市から大学が丸ごと無くなってしまえば、その後の入居も絶望的です。
12.資産価値下落リスク
将来、資産価値が下落するリスクもあります。アパートの築年数が経過するほど、その資産価値は下がっていきます。
また土地については、景気変動によって地価が下がるリスクがあります。土地価格が下がると、資産価値が大きく下がるため、アパートローンの残債が売却価格を上回るオーバーローンが生じるリスクがあります。
13.サブリースに関するリスク
メディアでも報じられているようにアパート投資については「サブリース契約に関連するリスク」が否定できません。サブリースとは、サブリース会社が一棟丸ごとアパートを賃貸、入居者とはサブリース会社が転貸借の契約を締結した上で、投資家はサブリース会社から賃料を受け取る形です。
サブリース業者の中には、空室が増えたタイミングなどで賃料減額を要求をしてくる場合があります。賃料減額により収支や資金繰り悪化のリスクがあります。
14.大規模修繕リスク
アパート経営では、築10年を過ぎたあたりから、給湯器の交換や外壁塗装等の大規模修繕が立て続けに発生します。大規模修繕を放っておくと、後でさらに余計な工事費用が必要となります。大規模修繕によるまとまった金額の出費も不動産投資のリスクです。
以上、アパート投資の代表的なリスク14項目をあげてみました。
いずれも頭の痛い問題ですが、これが「別荘投資」になると、どのように変わるのか次章で解説してまいりましょう。
別荘投資で検証する14のリスク
アパート投資14のリスクを別荘投資に置き換えてリスク検証します。
なお別荘投資とは、観光地に別荘を建築、あるいは購入し、一般のビジター客に宿泊施設として提供する事を想定しています。
インバウンド向け民泊と似ていますが、主に日本人旅行者向けであること、立地は観光地を想定していること、通年営業が可能な旅館業の許可をとること、以上の3点が違いになります。
比較にあたっては、単純比較できない項目もあるので、アパート経営の用語を宿泊業の用語に置き換えました。
リスクの度合いをアパート投資と比較して3段階評価しました。
|
それでは、順次進めて参りましょう。
1.空室リスク(A)
別荘投資の空室リスクは低いです。
アパート経営と違い別荘は損益分岐点が低く、年間稼働率30%(空室率70%の事)があれば収支トントンとなります。稼働率30%とは宿泊利用日数で換算すれば年間110日程度。夏休み(7月中旬~9月下旬)と土日祝日を合計すれば、優に110日をオーバーしますので、仮に夏休み以外の平日予約がゼロでも黒字になる訳です。(実際には、そんな事は起こりません)
損益分岐点の低い別荘投資に空室リスクはほぼ存在しないと言えます。
ちなみにビジネスホテルについて言えば、損益分岐点の稼働率が80%程度、同じ宿泊業でも収益構造が明らかに異なります。
2.賃料下落リスク(A)
貸別荘の場合は「宿泊料」ですが、宿泊料の下落リスクもアパート投資と比べ低いです。
先述の通り、貸別荘の損益分岐点は稼働率30%程度。無理(宿泊料の値下げ)をしてまで遮二無二に予約を取る必要がないからです。
季節毎や平日・休日で宿泊料を柔軟に変動させることが出来て、「定価」の概念がない貸別荘は、例えば一時的に料金を下げても、需要期に再び値上げをすれば済む問題です。もちろん競争環境が激化すれば、宿泊料を値下げせざるを得ないケースもあるので、リスクゼロとは言えませんが、繁忙期のお盆休みやゴールデンウイーク等で取り返せば良いです。
3.供給過剰リスク(B)
アパート投資と比べ、供給過剰リスクも低いと言えます。
地域の不動産情報が充実しておらず、宿泊業参入の障壁もあります。サラリーマンをしながら気軽に副業感覚で始める訳にはい。その分、供給過剰リスクは低いでしょう。
4.修繕リスク(B)
退去の度に壁紙の張り替えなどが必要なアパートと比べ、修繕リスクはそれほど高くありません。もちろん日々のメンテナンスは必要であり、遠隔地となれば自分の目で管理できない点が、この事業の難点です。
5.資金繰り悪化リスク(C)
月の収入差が激しい別荘投資は、閑散期は資金を持ち出す必要が出てきます。逆に繁忙期は潤沢にキャッシュフローが余りますので、余裕をもった資金繰り計画をたてておくことが必要です。開業時期を夏前にするか冬にするかで、その後の資金繰りにも影響を与えます。
6.建物老朽化リスク(C)
海のそばや森の中の建物が傷みやすく、かつ日常的に建物をケアできない別荘は、アパートと比べて老朽化のリスクは高いでしょう。一般的にアパートの場合、築浅であるほど人気が出るようですが、貸別荘はそうとも限りません。年季が入る事で、施設として味わいが出て人気化するケースもあります。
7.家賃滞納リスク(A~B)
家賃滞納を別荘投資に置き換えれば売掛金の未回収です。全てクレジットによる事前決済にした場合、未回収リスクを考える必要はありませんが、100%事前決済は予約に影響を及ぼします。現地決済にした場合、キャンセル時の未回収リスクが発生します。
8.入居者トラブルリスク(B)
騒音やBBQの匂い等による近隣とのトラブルリスクは存在します。
特に若者グループをターゲットにした大人数対応の別荘なら、騒ぎを起こして近隣から苦情が入るので、どのような別荘にするのか慎重に計画しましょう。
9.立ち退きリスク(A)
宿泊者が立ち退かない可能性はほぼゼロ、このリスクは存在しないと考えればよいでしょう。
10.自然災害リスク(C)
別荘投資で考えられ最も高いリスク要因です。特に台風の通り道になるようなエリア、海沿いのエリア、土砂災害警戒区域、洪水警戒区域等は注意が必要です。
候補地選定においては、ハザードマップで確認するだけでなく、過去に大規模な災害が無かったか等、充分に調査が必要です。
11.環境変化のリスク(B)
コロナ禍においてインバウンド旅行客がゼロになる等は、環境変化のリスクです。
20年や30年の期間の中で、人気観光地が陳腐化したりすれば、別荘投資に影響を受けることになります。
12.資産価値下落リスク(A)
アパート投資と比べて、資産価値下落リスクは低いでしょう。
そもそも田舎の観光地の土地ですから、都会のアパートと比べて地価が安く、景気変動によって地価が下がる可能性は低いです。アパート経営のようにオーバーローンが生じるリスクは低いと言えるでしょう。
13.サブリース契約に関するリスク(B)
貸別荘においてもサブリース会社は存在します。
リスクの度合いは、その事業によりまちまちですので一概に評価することは難しいです。
ただアパートの集客プラットフォームが、サブリース会社がどこであれ、スーモやホームズ等の大手プラットフォームであるのに対し、貸別荘のプラットフォームは確立されていません。集客面において、サブリース会社の選定はアパート投資以上に重要です。
14.大規模修繕リスク(B)
先述の通り、建物の老朽化リスクが高い別荘は、大規模修繕のリスクも存在します。
これから貸別荘投資を始めようという方へ
ここまで貸別荘の投資リスクを、アパート経営と比較分析して参りました。
分析結果からみると「別荘投資はアパート投資と比べて低リスク」と言えるのではないでしょうか。
特に空室リスクが損益分岐点の低い貸別荘事業では低い事が最大の魅力です。
その一方で、アパート経営と比べて馴染みのある事業でなく、世の中に確立されたノウハウや集客のプラットフォームが少ない事は不安材料です。
お住まいの場所と違う遠隔の観光地で事業を行うことも、気になる所でしょう。
貸別荘事業の始め方や開業のコツについては、私たちのグループサイトが役立ちますので、こちらも併せてご覧ください。
https://vacationrental.glampedia.jp/
私たちが行う貸別荘事業にご参加いただき、事業のコツであったり、リスクであったりを第3者の立場から研究いただくのもひとつです。
私たちが企画販売する「Residence Villa」は、億を超える高級別荘を18名のオーナーに共有いただく新しい別荘所有の仕組みです。
別荘として使わない日は、貸別荘として貸し出して頂く仕組みです。
全国で300棟を超える貸別荘を運営する私たちが、集客から運営、施設管理まで全てを行うため、今回ご紹介した貸別荘のリスクを気にしていただくことなく、別荘オーナーになっていただけます。
詳しくは、本サイトにて内容をご確認頂くと共に、お問い合わせ頂きましたら最新の情報を基にご案内させて頂きます。
別荘投資の第一歩としてResidence Villa をご検討ください。