1. 賃別荘投資とは?
賃別荘投資は、不動産投資の一形態であり、特に観光地やリゾート地にある不動産(別荘)を短期賃貸、宿泊施設として提供することで収益を上げる方法です。
一般的な賃貸住宅との違いは、その運用方法やターゲット層にあります。
賃別荘は、特定の休暇やイベントのために1泊から1週間程度の短期間だけ利用されるため、通常の賃貸住宅よりも高い料金(この場合は宿泊料)を設定することが可能です。
都心のマンション価格は高騰を続け、賃貸住宅として期待する利回りが低下する中で、新しい不動産投資のスタイルとして貸別荘投資は要注目です。
この記事でお伝えしたいこと。
賃別荘投資の特徴
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なぜ今、賃別荘投資が注目されているのか?
近年、コロナ禍での観光需要の変化やリモートワークの普及により、「ワーケーション」や「長期滞在型の休暇」のニーズが高まっています。
これに伴い、広々としたプライベート空間を提供する賃別荘が、訪日外国人を含む多くの旅行者やワーケーション利用者に好まれるようになりました。
2. 賃別荘投資の魅力
2-1. 収益性の高さ
賃別荘投資の最大の魅力は、その収益性にあります。
一般的なマンションやアパート投資と比較して、賃別荘は宿泊施設としての短期利用によるプレミアム料金が設定できるため、1泊あたりの収益、宿泊施設の場合はこれをADR(客室単価と呼びます)が非常に高くなる傾向にあります。
事例:山梨県河口湖の賃別荘収益モデル
訪日外国人で賑わう富士河口湖町で当社が運営する貸別荘(建築面積100㎡)の場合、夏休みの1泊料金は約10万円超で提供しています。夏休みは繁忙期ですので、月に25日間稼働しますので、1ヶ月の収益は250万円となります。一方、一般的には予約の入りづらいオフシーズンの平日も訪日観光客の需要が旺盛で、年間を通じた平均稼働率が60%、年平均の1泊料金が約8万円としても、年間収益は1725万円となります。これにより、初期投資額の早期回収が期待できます。
365日×稼働率60%×平均客室単価8万円=1,725万円
2-2. 資産価値の向上
観光地に位置する貸別荘は、その地域のブランド価値向上、流入旅行者数の増加に伴い、資産価値も向上しやすい特徴があります。
先述の富士河口湖町の2024年基準地価は、前年比12.7%の上昇とインバウンド観光客の増加で宿泊施設や店舗の需要が伸びたためです。
これと同様、あるいはそれ以上に、北海道ニセコや沖縄宮古島、長野県軽井沢なども地価が高騰を続けており、一般の投資家が手を出せないレベルになっていますが、今後、訪日外国人に観光地として注目を集めそうな地域に先行投資すれば、資産価値が大きく伸び、将来的な売却により大きな利益を得ることも期待できます。
2-3. 自身も楽しめる利用法
賃別荘投資のもう一つの魅力は、オーナー自身がその物件を利用できる点です。
家族旅行や友人との集まりに活用する、また法人が貸別荘経営に取り組むなら社員の福利厚生施設として活用するなど、投資物件がプライベート空間としても役立ちます。
オーナーが実際に宿泊することで、物件の改良点や運営の改善策、地域との人脈を形成し宿泊事業に活かすことも可能です。
理想を言えば、繁忙期は宿泊施設として貸し出し、閑散期となるオフシーズンの平日を中心にオーナーが利用すれば、貸別荘としての収益を最大化することが期待出来ますが、このあたりはビジネスと個人の楽しみとのバランスをどのようにとるか、人により考え方は様々です。
3. 投資スタイルとしての賃別荘の特徴
3-1. 小規模投資から始められる
賃別荘投資は、必ずしも高額な資金を必要としません。
地方の中古物件をリノベーションすれば、初期費用を抑えることも可能です。
例えば1,000万円以下の物件でも十分に収益を上げられるケースがあります。
事例:和歌山県御坊市のケース
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目の前が海、砂浜プライベートビーチのように利用できる好立地の古民家を格安で購入、リノベーションにより総額1,300万円で貸別荘を始めたサラリーマンのAさん。
若者のグループ旅行にターゲットを絞り、最大10名宿泊を可能とし、夏休みを中心に年間600万円の収益をあげています。
事例:シェア型別荘のケース
当社が運営するシェア型別荘、Residence Villa Awaji Mareは18名のオーナーによるシェア型別荘。億超え別荘を1,000万円台から共有することができます。
こちらも空いている日は、一般の方へ貸し出し可能、大きな収益は望めないですが、年間維持コストをかけないで高級別荘のオーナーになれます。
3-2. 副業・兼業にも最適
外部運営業者を活用することで仕事や本業に影響を与えることなく貸別荘運営が可能です。例えば、以下のような業務を外注することで効率的な運営が実現します。
・清掃業務:地元の清掃業者に依頼します
・予約管理:Airbnbなどのオンラインプラットフォームを活用します
・ゲスト対応:管理代行業者に対応依頼します
・施設管理:管理代行業者に対応依頼します
3-3. 地域社会への貢献
賃別荘運営は、地域の観光産業を支える重要な役割を果たします。
観光客が地域にお金を落とすことで、地域経済の活性化に貢献、空き家問題の解決にもつながります。
地域活性化の具体例
地元飲食店の売上増加:貸別荘経営で課題となる食事提供は、宿泊客に地元飲食店を利用してもらうよう仕掛けます。提携飲食店からのケータリングサービスやBBQ食材の提供、割引クーポンを配布して送客するなどして、地元飲食店に売上貢献します。
地域の体験型アクティビティの提供:その地域ならではの体験型アクティビティの提供は、旅行者の満足度を高め、貸別荘の差別化につながり、かつ地域経済へ貢献できる、win-win-winの関係です。当社が運営する淡路島の施設では、漁協とタイアップして漁の体験を提供しています。囲み枠c
文化や伝統の保護:家は人が住まない限り、どんどん劣化し、やがて朽ち果てていきます。古民家を賃別荘として活用すれば、地域の伝統文化を保護することにもつながります。
移住者の増加:貸別荘の利用は、将来の移住を念頭にその地に試泊する、フルサービスのホテルや旅館では得られない体験を提供する側面もあります。
4. 賃別荘投資のリスクとその対策
4-1. 季節需要による収益変動
繰り返しになるかもしれませんが、観光地の特性上、繁忙期と閑散期の収益差が課題となります。この課題を克服するためには閑散期にも需要を創出する施策が重要です。
閑散期対策例:料金設定
柔軟な料金設定で、閑散期の利用にお得感を出し利用者を増やします。
例えば、繁忙期なら1泊10万円を超える高級別荘に3万円で泊まれる等です。
閑散期対策例:長期滞在プラン
インバウンド観光客は基本連泊です。またワーケーションも長期滞在が基本です。これら長期滞在者向けのお得なプランを設定し、閑散期対策とします。
閑散期対策:冬の集客を想定した設備
多くの地域で閑散期といえば冬です。冬の人気のコンテンツである温泉やサウナを配備することで閑散期対策とします。
一方で、夏休みやGWの繁忙期に集中し、オフシーズンは「開店休業」「オーナーが利用」くらいのスタンスで運営するのもありです。
貸別荘運営は、年間100日も予約が入れば損益分岐点をクリアするので、遮二無二営業しないのも考え方です。
4-2. 運営コストの管理
運営コストの増加は収益性に直接影響します。効率的な運営を実現するためには、地元管理会社との提携が有効です。適切な管理会社の選定は、運営コストを適切にコントロールする上で非常に重要です。単に価格が安いだけの業者の場合、全く集客ができなかったり、想定外の費用が別途かかったりしますので、注意が必要です。
4-3. 法規制への対応
貸別荘に関する法規制は地域、場所によって異なります。適切な手続きと遵守が求められるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
特に、都市計画法、建築基準法、自然公園法、農地法、消防法などは、工事の着工前に事前相談、許可が必要であったりするので、勝手に進められる訳でなく、専門家にアドバイスを受けながら、行政と協議を進める流れになります。
5. 賃別荘投資の成功事例
成功事例1: 都心のサービス業経営者の例
東京都内でサービス業を営むA社長は、会社の将来性を考える上で、新規事業として貸別荘事業への参入が必要と判断、栃木県の温泉地に土地を購入、3棟の賃別荘経営を開始しました。初期投資額1億円は銀行借入と補助金を活用、1年目から5,000万円を超える売上と2,000万円の営業利益を計上、本業を上回る成績をあげる事が出来ました。
収益性の高さ、将来性を評価した金融機関からは更なる支援を約束、当地の近くで新たな土地を購入し、愛犬専用の貸別荘施設の企画を早速進めています。
成功事例2: 地方在住者による副業例
関西の地方都市に住む会社員のBさんは、近隣観光地にある空き家を低価格で購入、DIYリノベーションを実施して貸別荘をオープン。週末だけの運営で月額20万円の売上を上げ、趣味と実益を兼ねた別荘ライフを楽しんでいます。
6. 賃別荘投資を始めるステップ
6-1. 物件探し
「計画が先か?物件が先か?」といった質問を受けますが、迷わず「物件が先」と答えます。
計画に合致した物件を、そもそも情報の少ない地方で探し出すことは無理です。およその希望エリア(例えば、富士五湖周辺とか房総半島とか)だけ、ざっくり当たりを付けて、まずは探し始めることです。
適切な物件を選ぶためには、以下のポイントを考慮しましょう。
物件探しのポイント
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物件探しの方法
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物件探しは、成否を左右する重要なステップです。この段階でしっかりとリサーチを行い、後悔のない選択をしましょう。
6-2. 計画立案
候補となる物件が見つかれば、目的を明確にし、予算を設定することが次のステップです。ターゲット層を明確にし、ターゲットのニーズに応える条件を整理することです。
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6-3. 行政との事前相談
リノベーション計画を持って、行政へ相談に伺います。電話による相談から始め、詳細協議となれば、直接出向いて相談することが必要となるでしょう。
そもそもこの地で宿泊業が開業可能か、事前に許可申請は必要ないのか、計画通りに工事を進めて良いのか、場合によっては開業不可の判断をするケースも出て来ます。
6-4. 購入・契約手続き
物件の購入時には、法的手続きや契約内容を慎重に確認する必要があります。金融機関や不動産業者、専門家のサポートを受けながら、適切な取引を進めましょう。
6-5. 運営開始と集客戦略
物件購入後は、ターゲット層に合わせた集客戦略を立て、運営を開始します。オンラインプラットフォームを活用し、口コミやレビューを通じて信頼を築くことが成功のポイントです。
7. 賃別荘投資の未来展望
賃別荘投資の未来は、国内外からの観光需要の増加と、新しいライフスタイルの普及により更なる成長が期待されます。
リモートワークやワーケーションの定着により、自然豊かな地方での長期滞在需要が高まっています。
インバウンド観光客は東京や大阪、京都といった大都市から、「日本らしい自然体験」を求める動きが増えつつあり、地方観光地への関心が高まっています。
さらに、地域に存在する自然環境や文化的資産に着目し、環境に配慮したサスティナブルでエコロジカルな旅行に注目が集まっています。
これらの動きは、賃別荘投資にも大きなチャンスをもたらし、地方特有の魅力を活かした宿泊需要が今後さらに増加すると予想されます。
賃別荘投資は今後も収益性と社会的意義を兼ね備えた魅力的な投資手法として進化していくことでしょう。
8. まとめ
賃別荘投資は、収益性や資産価値の向上、自身も楽しめる柔軟性を兼ね備えた魅力的な投資スタイルです。リスクを理解し、計画的に運営を行うことで、安定した資産形成が可能になります。
この機会に、賃別荘投資という新しい選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?