この記事ではリゾート不動産の購入の流れについて書いています。
住宅を購入する流れとは大きく違うばかりか、投資用不動産(例えばアパート等)を購入するのとも違う注意点が出て来ます。
都会にはない法令上の制限や、建築制限、インフラ整備の課題等があり、そこを知らずに契約してしまうと、そもそも事業が出来ない、考えていたような建物が建たない、想定外の費用がかかる等の問題が後から出てきて、プロジェクトが頓挫するリスクがあります。
物件毎に注意点があり、過去の知識をそのまま活用することが出来ない、不動産会社や設計士等、不動産の専門家もリゾート不動産には不慣れな場合が多く、間違ったアドバイスをする恐れもあるので厄介です。
以上のリスクを念頭に置きながら、慎重に進めていく事が必要です。
リゾート不動産購入の流れ
リゾート不動産を購入するには、おおまかに以下の7ステップに分けられます。
物件によって順番は前後したり、省略したり、前に戻ったりしますので、あくまで標準的なケースとしてみてください。
1.問い合わせ
サイトからの問い合わせ、既知の不動産屋会社から提案を受ける事から始まります。
この時点で、「この地で、そもそも事業を行うことが出来るのか?」を、物件概要書から確認することは最低限しておきましょう。
市街化区域の住専地域、田園地域、工業専用地域、市街化調整区域は、旅館業(ホテル旅館や貸別荘)の営業許可を取って事業を行うことが出来ません。(自治体によって特例で認められているケースもありますが稀です)
市街化調整区域の物件を「宿泊施設にどうぞ」と、平気(知らずなのか、悪意があるのかは不明)で提案してくる不動産屋さんがいますので、むやみに信用しないようにしましょう。
また、接道要件を満たしていなく建物を建てられない、農業振興地域(農振地域)につき農地転用(事業化)がほぼ無理等は、物件概要書からでも分かります
これを知らずに、前に話を進めてしまったら、時間と労力の無駄になります。
法律で黒と決められているものを、白にひっくり返す事は出来ませんので、さっさと候補から除外していきましょう。
物件概要書以外では、住所をGoogleマップ(ストリートビュー)で検索する事も大事です。
物件自体を確認することはもちろんですが、周辺に焼却場や墓地、工場等の忌避施設がないか、最寄りのインターチェンジからのアクセスはどうか等、物件を俯瞰した視点から確認していきます。
あとは登記簿をあげて土地の権利関係を確認します。登記情報提供サービスなら、オンラインで登記情報がとれます。1通331円ですので、後々のリスクを考えれば面倒くさがらずに取得しておきましょう。
気になる物件から、消去法で除外していき、候補物件を選定、不動産会社に物件を紹介してもらいます。
2.物件確認と調査
候補物件を自分の目で見て確認すること、その物件に関する詳細な情報を調査すること、以上の2つが次にやることです。
候補物件へのアクセスはどうなのか、周辺にどのような建物や施設があるのか、近隣にどのような宿泊施設があり、どのような方が利用しているのか、現地へ赴く際は一緒に自分の目で確認しましょう。
現地は、設計士や工事会社と一緒に行けば、それぞれの専門領域からアドバイスしてもらえて、こちらが分からなかったリスクに気付くことも出来ます。
現地を見ながら、どれくらいの広さの建物が何棟建つかイメージして帰ります。
「ここは傾斜地に建てることになる」とか「この場所は隣家から丸見えだな」とか、イメージを具体化することは、紙の情報からは出来ません。
購入判断をする上で非常に重要なので、ただ漫然と土地を見るだけでなく、具体的にイメージする癖をつけておきます。
次にやる事は、その物件について詳細な調査を行うことです。
その物件について、どれくらい詳細な情報があるか確認します。リゾート不動産の場合、土地の測量図面が無い、隣地との境界が曖昧な事もあるので、まず現状を正しく把握することが必要です。
行政への調査は、直接窓口に赴いて行うこと、電話で確認することも出来ますが、ネットだけで済ますと後で思わぬ落とし穴があるので、面倒くさがらず、直接問い合わせしましょう。
調査対象は物件により千差万別ですが、幾つかの事例をお伝えします。
大きな土地を開発する場合は、開発許可が必要になるケースがあります。
開発面積により、市区町村もしくは都道府県へ申請が必要となり、大規模開発ほど、費用や時間を要します。
また接道する道路の幅や傾斜等で開発許可が下りない場合もありますので、事前に市町村の都市計画課に、開発許可が必要か否かを確認します。
開発許可の有無とあわせて、上下水の引き込み工事の必要性、引き込みが必要なら、どこから、どれくらいの距離の引き込みが必要なのか、上下水道課で調査が必要です。
広大な土地でロケーションが良いという理由だけで決めてしまうと、建築工事以外の費用が想定外に膨らみます。
傾斜地の土地なら、土砂災害特別警戒区域内にないか、がけ条例の規制を受けるか、宅地造成工事規制区域内にないか、いずれも全体工事に影響がでますので、こちらも土木事務所等に確認が必要です。仮に規制区域外でも、傾斜地に建物を建てる場合は、工事費が大きく膨らみます。
伊豆や箱根、富士山などの観光地は、自然公園法(国立公園や国定公園)で、ほぼ間違いなく制限されます。
エリアによって規制の内容が異なりますので、事前に環境庁の事務所へ確認が必要です。
また似たようなもので、市町村独自に景観条例が設定されています。
観光地であれば、かなりの確率で規制が存在し、建物の形状や色彩、道路からのセットバックなどの取り決めがありますので、こちらも都市計画課で確認が必要です。
「建築基準法上の道路に接道していない土地」を購入してしまい、建物建築の許可が下りないケースがあります。見かけ上は接道していても、建築確認をとれない土地もありますので、物件概要の情報を鵜呑みにせず、必ず事前確認をしておく必要があります。
下記は建築確認を行う指定確認検査機関の「敷地調査報告書」のひな型ですが、調査とはこの空欄を埋めるイメージです。
当社がお手伝いするプロジェクトの場合、物件調査を必ず自分達で行うようにしています。
委託先が未だ決まっていない場合は、自分で行うことになりますが、不動産会社もここまで詳細には調査してくれないです。
候補エリアの土木事務所、保健所、都市計画課、上下水道課、環境事務所等には、物件契約前に必ず相談に行きましょう。

3.事業計画と銀行相談
物件調査が終われば、具体的な計画に落とし込む流れです。
ここでは初期のイニシャルコスト概算を見積り、収支計画と共に銀行向け資料を整えます。
レイアウト配置は、Googleマップをスクショしたものに手書きで建物を配置していくような簡単なものでも、設計士に配置図だけ作成してもらっても構いません。
大切なのは、現地確認と行政への問い合わせを経て、希望観測でなく実際に建てることが出来る具体的な配置です。図面までは必要ないですが、建物の広さやデザインもおよそイメージしておきます。
収支計画は、当社がお手伝いする場合なら、土地のポテンシャル評価や、近隣の競合状況、当社の類似施設の運営実績等から算出しますが、そうでない場合は、観光庁や自治体が出している宿泊統計データ、楽天やじゃらんの予約サイトに掲載された近隣施設の情報を基に検討します。
次にイニシャルコストの見積りです。
先述の通り、開発工事が必要になるか否かは重要です。大規模な開発許可申請は、かなりの時間と費用を必要としますので、それに耐えうる企業体力が必要です。
水道、電気、排水関係のインフラが未整備の場合、特に上水の引き込み工事に相当額の負担が必要になります。
他にも自然公園法、景観条例など専門知識がないと対応が難しい場合もありますので、心配に感じられる方は、お気軽に問い合わせください。
以上の収支計画やイニシャルコストの試算を基に事業計画をまとめていきます。
リゾート不動産の場合、土地の担保価値がそれほど高くはありませんので、事業計画自体の精度や信頼性が問われます。
当社は、直営施設を全国で運営するノウハウと営業データを基に、銀行から評価される事業計画を作成します。こちらもご相談いただければと思います。
4.申し込み
申し込みのタイミングは、もっと前にするのが良いのか、後で良いのか、リゾート不動産の場合、表に出ないS級の物件もありますので、ケースバイケースでしょう。
5.行政との事前協議
この段階は、計画はより具体化されたものとなります。
隣地境界を確定した上で測量する、場合によっては地盤調査も必要となるでしょう。
設計図面をもとに、保健所や土木事務所、環境事務所等との協議に入ります。
保健所とは、宿泊定員に応じた入浴設備やトイレ、排水設備について協議を行うことになり、全体の設計に影響が及ぶため、初期段階から事前協議が不可欠です。
協議自体は設計士が行うことになりますが、協議が滞りなく進むようスケジュール管理と側面支援が必要です。
具体的にプロジェクトを進めていく上で、ハードルになりそうなものを、ひとつずつ潰していきます。
行政との事前協議を慎重に行った上で前に進んでいかないと、物件購入後に問題が発覚し、予算を大幅に上回る追加費用が発生したり、当初の設計プランを変更することになったり、開業スケジュールが遅れる等の問題が出て来ます。
物件が100あれば、そのハードルも100通りです。
豊富な経験と、リスクに対する慎重さ、合理的な判断力と柔軟性が、リゾート開発には求められます。
6.売買契約
行政との事前協議を経て、事業計画を確実に前に進められることが分かれば、売買契約の締結です。売買契約締結時に手付金を支払うのが一般的です。
農地転用が必要な土地の場合でしたら、停止条件付の売買契約を締結します。農地の上には建物は建てられませんので、農地転用が認められるまで実行を停止する契約形態の一種です。
7.引き渡し
停止条件が解除され、銀行から承認があれば、物件の引き渡しが完了です。
申し込みや契約、引き渡しの流れは、特に重要な情報ではありませんので、簡単に書きました。
ご覧頂いた通り、物件に対する調査や事業計画作りが、リゾート不動産の場合は重要であり、明快な回答を用意できる業者が少ないために他人任せに出来ない部分であり、マンション等の不動産投資とは違う部分であります。
誰もが簡単に手を出せる訳ではない分、競争相手が限定的で、高い収益を独占的にあげることができるのが、リゾート不動産投資の魅力です。