2025年の国内不動産投資市場で注目を集める、ホテルや旅館をはじめとしたリゾート地の不動産。2024年の訪日外国人観光客数は過去最多を更新、安定した需給バランス、円安・低金利を背景に、国内外の投資家がホテルや温泉旅館のリゾート地の不動産投資に注目しています。
リゾート不動産投資が注目を集める理由
2024年の訪日外国人観光客数は前年比147%の3689万人と大幅増の上、円安・低金利が続いていること、事業承継の問題もあり、ホテルや温泉旅館を中心に良質な物件が供給され続けていること等、リゾート不動産投資を推進する複数の要因が重なっているため注目が集まっています。
コロナ禍の行動制限によって宿泊需要が激減したため、ホテル投資は一旦冷え込みました。しかし、2022年には政府の水際対策が大幅に緩和され、訪日外国人観光客数は右肩上がりで回復しています。
訪日外国人観光客が激増する一方、円安の影響もあり日本から海外への旅行者が、コロナ前の約65%(2024年)と回復していない事は、国内旅行市場が活況の要因になっています。
業績指標は過去最高値を更新
観光客数の増加に伴い、宿泊施設の業績はコロナ前の水準を超えました。
京都市観光協会によると、加盟ホテル旅館115軒の平均客室稼働率(OCC)は2024年で78.5%となり、前年の73.4%を5.1ポイント上回りました。コロナ前2019年の81.3%には2.8ポイント及ばないものの、5月、10月、12月は単月で2019年を上回る水準にまで回復しています。
客室単価(ADR)は2024年で20,195円となり、2023年の17,403円、2019年の15,610円をそれぞれ上回っています。
その結果、宿泊施設の業績を測る上で重要指標といえるRevPAR(1日当り販売可能客室数当り宿泊売上)は、2024年で15,853円となり、前年の12,774円、2019年の12,691円を、それぞれ上回り、過去最高値を更新しました。
OCCが回復途上でありながら、ADRが過去最高値を更新した要因は人手不足があると推測されています。
コロナ禍で稼働率が大幅に低下した宿泊業界は、人員整理の波が押し寄せ、2023年になっても人手が戻らず、すべての客室を販売できないという現象が起こっています。
さらに水道光熱費や食材費等の高騰もあり、採算性の観点からADRを引き上げるオペレーターが急増しました。
円安が訪日観光客の回復を後押し
宿泊料金の値上げが顕著な日本の宿泊施設ですが、円安の影響がありドルベースの訪日外国人観光客にとっては、日本のホテルや旅館はなお割安感があり、魅力的な食、ホスピタリティの高いサービス、清潔感があり安全性な街、富士山や東京、京都などの世界に通ずる観光コンテンツがあり、世界の人気観光地としての地位を維持しています。
また日本人観光客も円安で海外旅行を控える半面、沖縄や京都、東京といった観光地へ旅行する動きが顕在化しており、宿泊施設の業績改善の一因となっています。
これまで、毎年海外旅行していたファミリーが、円安の影響もあり国内旅行にシフト、航空料金がかからない分だけ、より高級宿に泊まる動きを見せており、これもADR上昇の一因です。
観光立国ビジョンの元、2019年にはインバウンド観光客3,000万人の政府目標を達成、2030年には6,000万人という新たな目標が掲げられています。
これは政府が観光業界を全面的に支援するというメッセージとなり、実際、業界向けの補助金や助成金は手厚く、ホテルや旅館業界の将来性を考える上で追い風といえるでしょう。
安定的な需給バランス
良好な市場環境と宿泊施設の業績回復を見ると、新規プレイヤーの参入が増えることが、充分に予想されますが、今後も健全な供給環境の元、リゾート不動産の開発はより活発になっていくでしょう。
2023年以降は外資系ホテルの新規供給が、東京や京都、大阪等の国際観光都市や、沖縄、ニセコ、白馬等のリゾートエリアで増えました。
これらエリアでは地価が上昇している感はありますが、依然として過剰供給の心配はないと言えるでしょう。
観光庁のデータによると、過去10年間で日本の宿泊施設の数は年平均1.3%増にとどまっており、市場の伸びと比べて、施設の供給量は適性にコントロールされています。
オペレーターも市場をポジティブに評価
人件費や材料費が高騰しているものの、オペレーター(運営事業者)も、今の市場環境には前向きです。
ホテルの売上から経費を差し引いたGOP(営業総利益)は、ADRの上昇やDX化による業務生産性の向上もあり、依然として高水準を維持できています。
リゾート地の多くのオペレーターは、運営で利益を出せると自信を持っています。
オペレーターのポジティブなスタンスは、投資家にとってもプラスの判断材料です。
海外投資家からみた日本市場
世界的にみても稀有な低金利政策を維持する日本は、海外投資家にとって引き続き魅力的な不動産投資市場として映っています。
ニッセイ基礎研究所の調査によると、2024年の国内不動産取引額は前年比20%増加、世界金融危機後で最高額となったようです。その中でも外国資本によるホテルの取引額が約4,200億円と投資意欲は旺盛と出ています。
日銀の追加利上げの影響の懸念はあるものの、インバウンド需要の伸び、依然として低い金利水準や、安定した市況、高い流動性といった良好な環境を背景に、海外投資家からの注目も依然として高くあります。
当社にも、多くの海外投資家からの問い合わせが来ています。
2025年のリゾート不動産市場
2025年のリゾート不動産投資市場は、国内外からの注目がこれまで以上に高まり、活発な動きが期待されます。業績回復の追い風を受け、多様なエリア・業態にわたる投資機会が広がる中、国内外の投資家が競い合うかたちで市場がさらに拡大していくでしょう。今後は、新しい宿泊業態や再生案件への取り組みも加速し、リゾート不動産は次の成長ステージへと進む可能性を秘めています。