新事業進出補助金、事業再構築補助金との違いを中心に解説

2025年度よりスタートしました、最大9,000万円の大型補助金「新事業進出補助金」について解説しています。
公募要領の内容、「事業再構築補助金」との違いを中心に整理、採択のためのポイント、逆にいえば不採択にならないための注意点をまとめました。
この記事を書く、本サイト運営者の株式会社グランシーズは、前モデルである事業再構築補助金にて多くのサポートを行い、当社が支援した企業は高い採択率を誇っているので、事業再構築補助金の詳細について知り得る立場です。
今回の「新事業進出補助金」は、「事業再構築補助金」の不備な点、問題点を踏まえて制度設計されているので、本補助金で採択を受けるためには、前モデルの問題点をおさえた上での申請が必要となりそうです。

これから新事業進出補助金の活用を検討される事業者様は、ぜひとも本記事を参考になさってください。
それでは、解説を進めて参りましょう。

【この記事の目次】

  1. 新事業進出補助金の目的
  2. 新事業進出補助金(第1回)のスケジュール
  3. 新事業進出補助金の補助対象者
  4. 補助対象外の事業者
  5. 新事業進出補助金の対象となる「基本要件」
  6. 新事業進出補助金の補助対象外となる事業
  7. 新事業進出補助金の補助対象経費
  8. 新事業進出補助金の補助対象外となる経費
  9. 新事業進出補助金の補助率及び補助上限額
  10. 新事業進出補助金の採択確率
  11. 新事業進出補助金の申請方法
  12. 新事業進出補助金の審査方法
  13. 事業計画の内容
  14. 事業計画の審査項目
  15. 新事業進出補助金まとめ

1.新事業進出補助金の目的

中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。

新事業進出補助金は、物価高や、人手不足等、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者の経営を強化することを目的とおいています。
前モデルの事業再構築補助金の流れでいえば、新事業に進出することで達成する付加価値向上、賃上げの水準(=金額)は、具体的に問われるでしょう。

2.新事業進出補助金(第1回)のスケジュール

公募開始:令和7年4月22日(火)
申請受付:令和7年6月頃(予定)
応募締切:令和7年7月10日(木)18:00
補助金交付候補者の採択発表:令和7年10月頃(予定)

第1回の応募締切は時間厳守です。金融機関から融資を受ける場合は、銀行の確認書が必要なので、余裕をもって申請締切の1ケ月前には事業計画を完成の上、1週間前には申請準備を終えるようにしておきましょう。また不慣れな方の場合、申請に数時間を要することも考えられます。もし締切に間に合わない場合、次回以降に申請することとなり、計画が大幅にずれ込んでしまいます。

採択を受けた事業者は、その後に補助金の「交付申請」を行います。
交付申請は原則、採択発表日から遅くとも2ヶ月以内で実施する必要があり、期限までに申請がなかった場合は、採択取消となります。

交付申請2ヶ月の期限設定は、事業再構築補助金の反省に基づきます。採択後、交付申請がなかなか出てこず、補助事業期間が大幅にずれ込み、これが問題になっていました。
逆にいえば、新規事業のスケジューリングや、計画の具体性や根拠が明確であれば、審査員の心証は良くなるでしょう。

3.新事業進出補助金の補助対象者

本補助金の補助対象者は、日本国内に本社及び補助事業実施場所を有する中小企業者です。
つまり、国内に本社があることはもちろんですが、事業実施場所が海外となる場合、補助対象になりません。
中小企業の定義は、業種ごとに資本金「又は」常勤従業員数の上限値が定められています。詳しくは公募要領を参照してください。

中小企業等がリースを利用して機械装置又はシステムを導入する場合には、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社の共同申請を認め、機械装置又はシステムの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能です。

事業再構築補助金と同様、リース会社との共同申請を認めており、機械装置やシステムのリース料が補助対象となります。

4.補助対象外の事業者

本補助金の申請締切日を起点にして16か月以内に以下の補助金の補助金交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、又は申請締切日時点において以下の補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者.

・中小企業新事業進出促進補助金(以下「新事業進出補助金」という。)
・中小企業等事業再構築促進補助金(以下「事業再構築補助金」という。)
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(以下「ものづくり補助金」という。)

最も気になる「事業再構築補助金」採択事業者の対象可否ですが、事業再構築補助金の採択日と、今回の補助金の申請締切日(令和7年7月10日)の間に16か月の期間があいていれば、すなわち令和6年3月以前に事業再構築補助金の採択を受けた企業なら補助対象となります。

つまり、今回(第1回公募)の対象外となるのは、事業再構築補助金第12回(令和6年11月)の採択事業者です。
しかし、第11回以前の採択事業者のうち、申請締切日(令和7年7月10日)の時点で、補助事業実施中の事業者も補助対象外となるので、注意が必要です。


採択や交付決定の取り消しを受けた事業者や事業化状況報告が未提出の事業者も対象外となる可能性があるので、こちらも公募要領を確認してください。

その他、応募申請時点で従業員数が0名の事業者 、新規設立・創業後1年に満たない事業者、みなし大企業も対象外です。また、みなし同一事業者(親会社が議決権の50%以上を有する子会社等)からは、1社分の申請しか認められていません。

5.新事業進出補助金の対象となる「基本要件」


「新事業進出補助金」の「補助対象要件」は、以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要です。

<基本要件>

新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること

新事業進出とは、①製品等の新規性要件、②市場の新規性要件、③新事業売上高要件、3つの要件を全て満たす事業計画を策定する必要があります。
新事業進出補助金において最も重要な要件であり、どれだけ素晴らしい計画を策定しても、この要件を満たしていないと、問答無用で不採択になるので注意してください。

「製品等の新規性」とは、過去に製造等した実績がない製品等の製造等に取り組むことを言います。単に既存製品の製造方法を変更する場合は対象となりません。

「市場の新規性」とは、既存事業と新規事業の顧客層が異なることが求められます。既存顧客の一部を対象としたケースや、単に商圏を変えただけのケースは対象となりません。

「新事業売上高要件」とは、新たな製品等の売上高(又は付加価値額)が、事業計画期間最終年度において、応募申請時の総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となることが見込まれる事業計画を策定することです。売上規模の大きな会社の場合は、新事業を行う事業部門の売上高要件を満たせば良いこととなっています。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと

(1)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
(2)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること

「賃上げ要件」が事業再構築補助金から最も大きく変更された部分です。主な変更点が重要ですので、改めて整理します。

・賃上げ目標値の表明
全従業員又は従業員代表者に対して、賃上げ目標値が表明されていなかった場合、交付決定を取り消し、補助金全額の返還が求められます。

・賃上げ目標値の評価
基準値より高い賃上げ目標値を設定した場合、高さの度合い及び実現可能性に応じて審査で評価、すなわち採択確率が高くなります。

・賃上げ目標値未達の場合の補助金返還義務
賃上げ目標値のいずれの目標値も達成できなかった場合、補助金交付額に、達成度合いの高い方の目標値の未達成率を乗じた額の返還が求められます。ただし、赤字等の営業不振の場合や、天災など事業者の理由がある場合は、補助金の一部返還は求められない場合もあります。

・賃金台帳の提出
賃上げ要件の達成状況確認のため、事業化状況報告(5年間)に、決算書と賃金台帳等の提出が求められます。
事業再構築補助金では努力目標であった「賃上げ」が、補助金返還を伴う目標に変わり、以前は無かった賃金台帳の提出も求められています。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること

賃上げ要件と同様、事業所内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準になっていなかった場合、補助金交付額を事業計画期間の年数で除した額の返還が求められます。

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること

公表にあたっては、1~2週間程度の期間を要するようなので、申請締切の前に準備が必要です。

補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること

申請時に「金融機関による確認書」の提出が求められます。金融機関が書類を用意するには相応の期間を要するので、申請締切の1ヶ月程度前には事業計画を完成の上、金融機関に提出する必要があります。
詳しくは、融資を受ける予定の銀行に相談してください。

6.新事業進出補助金の補助対象外となる事業

以下に該当する場合には、補助金交付候補者として不採択又は交付決定取消となります。本補助金に補助金交付候補者として採択された場合であっても、以下に該当すると判明した場合には、採択取消又は交付決定取消となりますのでご注意ください。

主な対象外となる事業をピックアップします。

① 補助事業の主たる内容そのものを他者へ外注又は委託する事業、及び具体的な補助事業の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業
② グループ会社が既に実施している事業、みなし同一法人から複数申請されている事業
③ 事業承継を行った上で事業を実施する場合に、承継以前の各事業者が既に実施している事業
④ 不動産賃貸、駐車場経営、暗号資産のマイニング等、資産運用的性格の強い事業
⑤ 1次産業(農業、林業、漁業)に取り組む事業
⑥ 公序良俗に反する事業
⑦ 本補助金において提出された、他の法人・事業者と同一又は類似した内容の事業
⑧ 公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等との重複を含む事業
⑨ 中小企業庁が所管する補助金(中小企業生産性革命推進事業、中小企業等事業再構築促進事業、中小企業省力化投資補助事業等)と同一の補助対象経費を含む事業

一部を補足説明します。
補助金を使ってホテルを建築し、収益物件として貸し出す事業は、④に該当し補助対象外です。同じくホテルを建築し、オペレーターに全て運営委託する場合も①に該当するので対象外でしょう。ホテルの場合は、あくまで自社で運営し、清掃業務等の一部業務を外部委託する形でないと厳しいか思われます。
②③については、以前の事業再構築補助金の時に、明確な規定が無かったため、グループ企業がこれを利用して補助金交付を受けた反省が反映されています。
同じく⑦は主にフランチャイズ本部が主導で補助金を利用した反省が反映されています。フランチャイズで補助金の採択を受けるのは難易度が高いとご理解ください。また、過去に採択された計画書をコピー、転用して提出する場合も、不採択となるでしょう。

7.新事業進出補助金の補助対象経費

補助金の対象となる経費は以下の通りです。
対象経費のうち「機械装置・システム構築費」又は「建物費」のいずれかは、必ず補助対象経費に含める必要があります。
ところで、「建物費」が対象経費となる補助金は稀少です。建物を建てて新事業に進出を計画されている事業者は、新事業進出補助金を使わない手はないです。
採択決定後、2ヶ月以内に見積書等を添えて「交付申請」を行い、補助対象経費として認められた経費に限り、「交付決定」されます。
したがって、計画書に書いた経費が全て認められるとは限りません。
また交付決定前に支払った経費は、全て補助対象外となるので注意してください。

それでは、ひとつずつ見て参りましょう。

① 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用(リース・レンタルのこと)に要する経費
② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築、借用に要する経費
③ ①又は②と一体で行う、改良、据付け又は運搬に要する経費

機械装置、工具・器具とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象です。「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は対象外です。
既存の機械装置・システム等の単なる置き換えは対象外です。

① 専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
② 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
③ 専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費

建物とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象です。建物の単なる購入や賃貸は対象外で、あくまで自社で建物を建築する上で係る費用が対象です。
事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは認められず、転用した場合は残存簿価相当額の補助金を国庫に返納する必要があります。
建物の撤去だけを補助申請することは出来ません。あくまで撤去と建築がセットです。
構築物を単体で補助申請することはできません。こちらもあくまで、建築に付随して、一体的に補助申請することが必要です。

運搬料、宅配・郵送料等に要する経費

補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

技術導入費の支払先にグループ会社を含めることはできません。

補助事業の開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費

補助事業遂行のために必要な検査等・加工や設計等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費

外注費の支払先にグループ会社を含めることはできません。

補助事業遂行のために必要な専門家に支払われる経費

専門家に依頼したコンサルティング経費が1日上限5万円以内で補助対象となります。
専門家経費の支払先にグループ会社を含めることはできません。

専ら補助事業のために使用されるクラウドサービスの利用に関する経費

サーバー上のサービスを利用料が補助対象経費です。サーバー購入費やサーバー自体のレンタル費等は対象になりません。

補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費

売上高見込額の5%は補助金の上限です。

補助対象経費の内容については、事業再構築補助金から大きな変更はありませんが、研修費が補助対象外になった点、グループ会社への発注経費が対象外となった点は変更点です。

以下の経費は補助対象外です。他にもありますので、詳しくは公募要領をご覧ください。

・交付決定前に発注した全ての経費
・ 事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費等
・ 諸経費、会社経費、一般管理費、雑費等、詳細が確認できない経費
・ フランチャイズ加盟料
・ 販売やレンタルを目的とした製品・商品等の生産・調達に係る経費
・不動産の購入費、構築物の購入費、株式の購入費
・ 事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成費
・ 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(例:事務用のパソコン、スマートフォン等)
・ 自動車等車両等の購入費・修理費・車検費用・内装に係る費用
・ 事業に係る自社の人件費
・太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど売電を行っている場合
・ 同一事業者の部署間の支払い(機械装置等の社内発注など)

フランチャイズ加盟金、補助金申請のためのコンサル費用が補助対象外なのは事業再構築補助金より変わらない点ですが、太陽光発電が具体的にピンポイントで加えられています。前回、対象経費の解釈の部分で、問題になった事が想像できます。

9.新事業進出補助金の補助率及び補助上限額

新事業進出補助金の「補助金額」及び「補助率」は、下記の通りです。

従業員数20人以下 750万円~2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人 750万円~4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人 750万円~5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上 750万円~7,000万円(9,000万円)

賃上げ特例の適用による補助上限額の引上げを受ける事業者の場合は、カッコ内の補助上限額を適用されます。
賃上げ特例の適用による補助上限額の引き上げとは、3~5年の補助時事業終了時点で、①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成する計画を立てた場合の上乗せ特例です。

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交付決定日より14ヶ月以内(ただし採択発表日より16ヶ月以内)

例えば建物費を申請するなら、採択発表後、交付決定から14ヶ月の間に、建物の設計、見積り、業者選定、契約、工事、検収、対象経費の支払いを完了する必要があります。
補助事業実施期間の延長は原則認められません。ただし、天災など補助事業者の責任によらない理由により、期間内に事業を完了することができない場合は、期間の延長が認められる場合があります。
事業再構築補助金の場合は、最大で12ケ月の期間延長が認められるケースが多かったですが、今回の補助金でどのように運用されるのかは分かりません。

従業員150名の中小企業が、新事業に進出することを目的に工場を2億円で建築する計画、第1回公募で採択、令和8年1月に交付決定を受けた場合

・建築費:2億円(税別)
・補助金額:7,000万円
・補助期間:令和9年2月まで

10.新事業進出補助金の採択確率

新事業進出補助金は総額1,500億円と大規模な補助金事業です。
年4回公募で、計5,000~6,000社が採択予定です。
過去の補助金の事例では、採択確率は40~50%程度、通常、1回目の方が通りやすく、段々と採択確率は下がっていく傾向です。

11.新事業進出補助金の申請方法

新事業進出補助金は、電子申請により行います。
申請には、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。アカウントは、必要書類を郵送して作成することになり発行に時間を要しますので、早めにIDを取得してください。
詳しくは、「GビズID」で検索していただき、専用ページにアクセスしてください。新事業進出補助金に限らず、補助金等の申請にはGビズIDが必要ですので、この機会に取得をお薦めします。

12.新事業進出補助金の審査方法

新事業進出補助金の審査方法は、「書面審査(1次)」と「口頭審査(2次)」からなります。
口頭審査は、書面審査をパスした事業者が対象です。
審査は、大学教授や中小企業診断士、公認会計士などの「外部有識者」が行います。

書面審査(1次)では、GビズIDを使って電子申請画面にログインして、事業計画や決算書、賃上げ計画の表明書、金融機関による確認書等の書類を提出します。申請(第1回)の締め切りは令和7年7月10日の18時、この時間を過ぎると申請できなくなりますので、充分に注意してください。

口頭審査は、1次の審査基準を満たした事業者を対象に行われます。審査はZOOMを使って事業者当り15分の持ち時間です。
審査は法人代表者等1名が対応、経営コンサルタントや社外顧問等の申請事業者以外の代理や同席は認められていません。(顔写真付き身分証明書で本人確認が実施されます)

13.事業計画の内容

補助金申請で最も重要な事業計画作り。
事業計画は、電子申請システムに入力する形式になりました。
入力内容は、「事業計画テンプレート」が公開予定ですが、以下の項目で構成されるようです。

(1)既存事業の内容
① 申請者の概要
・ 自社の概要や現在行っている事業等について簡潔に記載してください。
② 既存事業の内容
・ 現在行っている既存事業の内容を網羅的・具体的にすべて記載してください。
(2)補助事業の具体的取組内容
① 新事業進出指針への該当性 ・ 既存製品等と新製品等の内容を記載をしたうえで、それらの相違点について具体的に記載してください。(製品等の新規性要件)
・ 既存市場(顧客)と新市場(顧客)の内容を記載したうえで、それらの相違点について具体的に記載してください。(市場の新規性要件)
② 新規事業の内容・目的 ・ 補助事業で取り組む新規事業の内容と目的について、具体的に記載してください。
(3)連携体の必要性 <連携体申請の場合のみ>
① 代表申請者及び連携体構成員それぞれについて、補助事業における役割及び必要不可欠である理由を具体的に記載してください。
(4)現状分析
① 現在の事業の状況について説明してください。
② SWOT分析(自社の強み・弱み・機会・脅威)を実施したうえで、新規事業を実施することの必要性について説明してください。
(5)新規事業の新市場性・高付加価値性 <①と②は選択制> ※ 「新市場・高付加価値事業とは」もご参照ください。
① 新市場性
・ 新製品等の属するジャンル・分野について記載してください。
・ 新製品等の属するジャンル・分野の社会における一般的な普及度や認知度が低いものであることを、それらを裏付ける客観的なデータ・統計等を示しながら、説明してください。 ② 高付加価値性
・ 新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格について、それらを裏付ける客観的なデータ・統計等を示しながら、説明してください。
・ 新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造等する新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであることを、高付加価値化・高価格化の源泉となる自社の価値・強みの分析とともに、説明してください。
(6)新規事業の有望度
① 新規事業の将来性
・ 補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの規模を有していることや成長が見込まれる市場であることについて説明してください。
② 参入可能性
・ 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であることについて説明してください。
③ 競合分析
・ 競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能であることについて説明してください。
(7)事業の実現可能性
① 課題及びスケジュール
・ 補助事業の事業化に向けた中長期での課題及び、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法について説明してください。
・ 事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の取得時期や技術の導入や専門家の助言等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。
② 事業実施体制
・ 補助事業を実施するための体制(人材、事務処理能力等)、資金の調達方法について説明してください。
・ 既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載してください。
(8)公的補助の必要性
① 補助事業で取り組む新規事業の内容が、川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業である場合は、理由とともにその旨を記載してください。【任意】
② 補助事業で取り組む新規事業の内容が、先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業である場合は、理由とともにその旨を記載してください。【任意】
③ 国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないことについて説明してください。
(9)政策面
① 補助事業で取り組む新規事業の内容が、「10.審査項目(6)政策面」に記載されている事項に該当する場合は、理由とともにその旨を記載してください。【任意】
(10)補助対象予定経費
① 補助対象とする予定のすべての経費について、経費の分類、名称、取得予定価格等を具体的に記載してください。なお、単価500万円(税抜き)以上の機械装置については、機械の種類が具体的に分かる名称を記載してください。
② 補助対象とする予定のすべての経費について、補助事業を実施するうえで、それらが必要不可欠である理由を具体的に説明してください。
(11)収益計画
① 補助事業の事業化見込み
・ 収益計画表を作成したうえで、補助事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について記載してください。
② 補助対象要件への該当性 ・ 「新事業売上高要件」「付加価値額要件」「賃上げ要件」「事業場内最賃水準要件」「賃上げ特例要件(賃上げ特例の適用を受ける場合のみ)」を満たす収益計画を作成のうえ、算出根拠とそれらを達成するための取組について具体的に記載してください。
③ 大規模な賃上げ計画の妥当性 <賃上げ特例の適用を希望する事業者のみ>
・補助事業実施期間内に限らず、補助事業終了後も含めて、想定される継続的な賃上げの見込みを示してください。賃上げに必要な経費や原資を明確にし、具体的な取組の内容を明記したうえで、実現可能であることを説明してください。

随分なボリュームですが、フリー書式であった事業再構築補助金と比べ、記載項目と観点が明確なので、事業計画が具体的に固まっている企業には、逆に書きやすいのではないでしょうか?
逆に、この記載項目に添って整理していけば、事業計画がブラッシュアップできそうです。

14.事業計画の審査項目

審査項目は次のようになっています。
理解しやすいように簡易にまとめているので、詳しくは公募要領をご確認ください。

① 補助対象事業としての適格性
・本公募要領に記載する「補助対象者」「補助対象事業」「補助対象事業等」の要件
・付加価値・賃上げ目標値の設定と、その目標値の実現可能性

② 新規事業の新市場性・高付加価値性
・新規事業は一般的な普及度や認知度が低いものであること
・同一の分野の中で、高付加価値化・高価格化を図るものであること

③新規事業の有望度
・新規事業は継続的な成長が見込まれる市場か
・新規事業は、自社にとって参入可能な事業であるか
・競合他社と比較して、明確な優位性を確立する差別化が可能か

④事業の実現可能性
・中長期の課題を検証できているか。スケジュールや課題解決方法が明確かつ妥当か
・財務的に補助事業を適切に遂行できるか。金融機関等からの十分な資金調達が見込めるか
・事業を適切に遂行する体制が確保出来ているか。第三者に過度に依存する事業ではないか

⑤公的補助の必要性
・経済波及効果、新たな雇用など、国が補助する積極的な理由がある事業は高く評価
・事業の費用対効果が高いか
・先端的デジタル技術の活用等、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献するか
・国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか

⑥政策面
・市場の成長や生産性の向上が見込まれる分野に進出、日本経済の構造転換を促すことに資するか
・先端的デジタル技術の活用等、重要な技術の活用等を通じ、経済成長・イノベーションを牽引し得るか
・独自性の高い製品・サービス開発などで差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか
・地域の事業者等に対する経済的波及効果、大規模な雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか

⑦大規模な賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例の適用を希望する事業者に限る)
・大規模な賃上げの取組内容が具体的に示され、記載内容や算出根拠が妥当なものであるか
・将来にわたり、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか

以上、公募要領に書かれた審査項目を、可能な限り簡略化して分かり易く書きました。
こちらも詳細は公募要領を確認してください。

審査項目の中で、絶対にクリアしないといけないのが①です。①の「要件」と「目標値」を満たしていないと、その時点で不採択です。

その他、②から⑦において、特に重要と思われるのが②です。
②は「新市場性」と「高付加価値性」いずれかの選択になります。
取り組む新規事業が、新市場性(一般的な普及度や認知度が低い事業)があるか、新事業性が乏しい場合は高付加価値性(同一ジャンルの中で、高水準の高付加価値化・高価格化の事業)であるか、いずれかが求められます。
簡単にいえば、「他にない事業」か「他と比べて高付加価値な事業」のいずれかが求められます。
その他、③④から⑤⑥へ、後ろに行くほど、審査の重要度は下がるように思います。

➇加点項目
健康経営優良法人、技術情報管理認証制度など、国が推進する制度に認証されている事業者には加点があります。
加点の審査におけるインパクトは大きく無さそうなので、認証されていないからといえ、悲観する必要は無さそうです。

⑨ 減点項目
減点項目のインパクトは大きいです。こちらは注意する必要があります。

・中小企業庁の過去の補助金において、賃上げに関する加点を受けたうえで採択されたにもかかわらず、申請した加点要件を達成できなかった場合は大幅に減点されます。過去に約束を守っていない事業者は採択確率が低いという事です
・特定期間に、類似のテーマに関する申請が集中する場合、一時的流行によるものと判断され大幅に減点されます。流行ものは採択確率が低いという事なので注意しましょう。
・過去に受けた事業再構築補助金等で行った事業の販売実績がない事業者は、事業化状況報告の内容を受けて減点されます

事業再構築補助金で、これから事業化状況報告を行う事業者様は注意してください。

申請した事業計画の内容について、事業の適格性、優位性、実現可能性、継続可能性等について、審査員からの質問に答えます。

15.新事業進出補助金まとめ

「新事業進出補助金」の概要は以上となります。ポイントを以下6点にまとめました。

(1)事業再構築補助金にあった売上減少要件が無くなり、大企業と1次産業、創業1年未満の企業を除き、原則としてどんな規模、業種の事業者も申請できます。

(2)補助率は「2分の1」で、補助上限額は「最大9,000万円」。補助下限額が750万円とされているため、最低でも「税別1,500万円以上の設備投資」が必要です。

(3)交付決定前に発注(契約)した経費や、土地代や建物購入費は、補助対象外です

(4)建物の新築、改築、取り壊しの費用は補助対象です

(5)賃上げ目標が未達成の場合、未達成率に応じて補助金の返還が求められます

6)新規事業(事業計画)の「新市場性」もしくは「高付加価値性」が、採択を受けるためのキモになります。したがって、フランチャイズで焼き増しされたようなビジネスモデルや、一時的な流行りの事業は採択確率が低いことをご注意ください

新事業進出補助金の説明は以上となります。


ご不明点は、中小企業庁「新事業進出補助金」の公式サイトを確認、問い合わせ頂くか、宿泊事業に新規参入するご予定の事業者様は、当サイト(ミライ別荘倶楽部)を運営する、認定支援機関の株式会社グランシーズまで、お気軽にご相談ください。
当社は、宿泊施設(ホテル、旅館、バケーションレンタル)に特化したコンサルティング、プロデュースの分野で、用地選定から企画開発、資金調達、設計施工、オペレーション構築、集客プロモーションまで一貫したサービスを展開しており、前進の「事業再構築補助金」についても、ご支援先の企業では90%以上の確率で採択されていました。

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